このEDLCをソーラーモジュールや風力発電機と組合せて使用すると次の様な特性を得ることができる。

1. 10年以上メンテナンスフリーの電源を作ることが出来る。 但し、現在はEDLCの容量が小さいので、小電力の電源として使用されている。

2. 毎日充放電を繰り返すことにより、無日照補償用の余分なバッテリーを必要としない設計が可能で、これにより日陰、雨天でもフルに充電するシステムが作れる。

3. したがって信頼性の高い機器として公共物の用途が多く道路鋲、警告灯、防犯灯、表示機等に使われ初めている。小型のEDLCはパソコンのメモリーバックアップ用としては10年以上前から使われていたがエネルギー用としてはここ5〜6年前から本格的に使われるようになった。
これからEDLCの用途は大きく広がると思われ、次の様なアプリケーションが考えられる。

1. 足下灯、庭園灯、街灯
2. フラッシャー
3. 道路鋲
4. 表示機
5. 航路標識(ノルウェー)
6. スノーポール
7. ソーラー屋形船
 
次にEDLCの急速充電の特性を生かすと小型風車のバッテリーとして効率の高い蓄電システムになる。従来のバッテリーでは充電に数時間かかるので、数分の風が吹いても殆ど充電ができない。EDLCだと数秒〜数分で充電が完了するので風速の変化の激しい所では効率良く充電が行える。もし系統連係していれば激しい発電電力の変動に対してもEDLCがバッファーバッテリーとして働くために変動を少なくして系統連係ができるため商用電源にも与える影響を少なくできるメリットがある。
講演1 講演2
講演中の堀内所長(右前)
この特性は電気自動車にも応用でき、回生ブレーキとして下り坂はモーターが発電機として電力を起こし、急速充電が可能なこのEDLCに蓄電出来る。将来的にはEDLCは殆どの車に積まれるようになると考えられ21世紀の蓄電池の主役になるであろう。


2. 太陽熱(空気)利用によるエアコンディショニング(ソーラーウォール)

これは、太陽熱を利用して建物の換気暖房を行う非常にシンプルなシステ ムで、オプションにより冷房も行うことができる。
これは、カナダのコンサーバル社が開発したもので、米国のエネルギー省(DOE)もこのシステムを推奨しており、大手企業の工場や建物、山小屋等にも使用され始めている。 原理は簡単で、0.8m/m厚のアルミ板に1.5m/mφの穴を無数にあけたアルミパネル(ソーラーウォール)を建物の南面に設置する。このとき、建物とソーラーウォールの間に10cm程のスペースを設けるというだけのシンプルな構造である。
このスペースの内、外で暖められた空気を排気ファンで室内に誘導する。または、この暖気をエアコンの取入口に接続する。これにより、真冬の2月でも約40%の暖房費が節約できる。東京で100Fのソーラーウォールを設置すると、約、年間51000kwの電力を節約したことになる。
このシステムの欠点は、雨天の時は機能しなくなるので既存の暖房設備を使うことになるが、晴天の時の省エネルギーの効果は大きく、設備費の回収は5年位であり、太陽光発電の1/4位であろう。
また、太陽熱温水器を暖房用に使うより熱交換の効率は高い。
従って、目的の異なる太陽光発電、太陽熱温水器、ソーラーウォール等を旨く使い分けることによって、効率良いエコエネルギーハウスの設計が可能となる。
原理が簡単で故障が殆どないこのソーラーウォールは、冬季の暖房補助装置として、クリーンエネルギー利用の大きな位置を占める可能性を持つシステムである。


3. キネティックエナジー(フライホイール)利用の軽便鉄道(レールバス)

このシステムは、英国のブリストル市で、現在テスト運行されているレールバスで、フライホイールの機械的回転エネルギーを使用したレールバスである。 原理は、直径1mのフライホイールをモーターで約3500回転/分まで回転させ、この慣性力を使って車輪を駆動させる仕組みになっている。乗客は40人乗りで、最大速度は60km、架線がなくレールの絶縁も不要なので、敷設費は安く上がる。
特徴は、停留所毎に通電して、モーターによりフライホイールを廻し機械的充電を行うので、重いバッテリーを積む必要がない。 電気自動車の最大のネックは、例えば200km以上走行させるためには、かなりのバッテリーが必要となるが、都市型の軽便鉄道の場合、駅の間隔は1km 以内なので、この分だけのエネルギーを蓄えれば良いわけである。現在は、フライホイールの回転を減速して車輪を駆動させているが、来年初めの実用線では、フライホイールの回転で発電機を廻して、その電力でモーターを廻すというシステムに変更するそうだ。 しかし、前述のEDLCを使用すれば、複雑で危険なフライホイールを使わずに瞬時に停留所でEDLCを充電できるわけである。そしてその電気エネルギーで次の駅まで走行し、そこでもまた充電すれば良いので、私はEDLCによるレールバスを開発したいと思っている。
現在、鎌倉市長がこのシステムに興味をもってくれたので、研究会を作って検討を始めたが、大都市の交通が将来このようなクリーンエネルギー利用のレールバス、または、バスに置き換えられることが望ましい。 これにより渋滞の激しい都市から自動車を少なくし、環境の改善が行われることを期待したい。


最後に陸上の乗物よりも、船への太陽光発電の応用の方が早いと思われる。それは、船の方がソーラーパネルの面積を広くとれるし、バッテリーが沢山積めるからである。スピードさえ出さなければ、電動モーターによる推進機をつけることによって、騒音がなく、無公害なソーラ船を作ることができるが、実用化のための難しい問題はとくにない。
実際、日本では4年前に、アルミで作ったソーラボートで冒険家堀江氏が太平洋横断をした実績があり、九州では毎年ソーラボート大会を開いている。近い将来、チャオプラヤ川でソーラ船が沢山走る光景を見たいものである。