「自然エネルギーの普及と役割について」

1.はじめに

21世紀を迎えるにあたって、今、我々が直面している問題点は多々ある。なかでもエネルギー問題は環境問題と密接な関係がある。これに気づいたヨーロッパのいくつかの国は、すでに環境エネルギー省の創設や、環境担当部所がエネルギー施策を立案するという行動に移行している。

イメージ1 昔は環境問題はその地域の特殊なケースとして処理されて来たが、今や大量生産・大量消費の時代を迎え、かつ経済効率の重視と相まって、地球的な規模での環境悪化を引き起こすまでになってしまった。 また、今までの公害は加害者と被害者を明確に区別できるケースが多かった。しかし、現在は例えば車の運転やクーラーの使用者が化石燃料を罪の意識のないまま生活に使うことによって、大気汚染を自ら引き起こしている。すなわち無意識のうちに加害者になってしまっているという構図になってきている。
生協も早くからこれに気づき、低公害車の普及や自然エネルギーの利用検討を進めてきていると聞いている。しかし一般の人で、生協とエネルギーの関わり合いを知っている人は少ないのではなかろうか。
東海村の事故の内容を知るにつれ、生協こそがこれからエネルギー分野において何をすべきかの議論を世間に提言する時期であると考える。
そもそも生協とは地域のため、住民の幸せのために何をすべきかを考えてきた意識の高い集団であると筆者は認識している。それゆえに消費者に信頼され、頼られて21世紀のライフスタイルはかくあるべしとの指針まで示せるような組織作りと先取りの行動を取って欲しいと願っている。一例をあげると高齢者にとっての食(総菜等)の提案や、バリアフリーの店舗作り、消費者サービス、情報弱者の救済等々、部分的には既に行動を起こしてはいるが、もっと積極的な参加を期待したい。

例えば地域に対する積極的なゴミ削減の提案、PR、教育等々、生活に密着しているこの組織に出来ることは山ほどあるであろう。安い食品の提供だけならば、知恵のある民間の業者の方が勝る場合が多くなることは必須である。今流行りの100円ショップ等はその良い例である。

今回、色々な分野での提案を試みたいが、紙面の関係でエネルギー分野に的を絞っていくつかの提言を試みる。

2. 21世紀のグランドデザイン:地域連携とエネルギーについて

日本の新しい国土計画は昨年3月に閣議決定され、第5次全国総合開発計画として今後10年から15年を目標として「国づくり」を如何にすべきかの指針を示した。
今までの全総と異なる点は地域連携を密にし、地域の自立の促進と美しい国土の創造という所に力点が置かれていることである。それによると21世紀の我が国の目指すべき国土のあり方は「庭園の島」のような美しい国土づくりを目指しており、地球規模の環境・資源の有限性を認識した上で、持続可能な経済社会を想定し、自然の保全・回復と充実感と生きがいを持ち、かつ人々が多用な生活様式を営めるという選択肢の多い社会を実現することが目標となっている。
これは今までの国土計画の反省の上に立って作られたわけで、20世紀に我々が経験した数々の失敗や教訓を次の世代に生かそうという謙虚な気持ちがあらわれている。もちろん全ての分野をカバーするために、網羅主義と美辞麗句が散りばめられていることは否めないが、今までの開発主体のポリシーが蔭をひそめたことはうれしいことである。 具体的な例をあげると今までの各省庁の縦割りを改め、皆協力して一つのプロジェクトを進めるための各省庁間連携が大切であるとした点である。
また、地域では「フルセット主義」を捨て、施設整備や運営を各々の自治体が単独で行う今までの無駄や見栄を払拭させる提言も、地域連携という形で位置づけたことは大変素晴らしいことである。 例えば今までは、ある町が美術館を建てると、隣の町も競争して美術館を建て、あげくのはてに訪れる人は少なく経費のみがかさむ。同様にスポーツ施設やいろいろな公共物も皆同じ運命をたどり、箱物行政による赤字負担が増えていくという構図になっている。このように日本中どこに行っても同じ様な施設や街並みで、旅館が供する画一的な高い料理もほぼ同じたぐいの物で、特色のない地域が林立すれば、観光客が海外に流れてしまうのは無理からぬ事である。したがって最近は国や県から補助金が出ても、管理費のかさむ施設作りはごめんこうむるというムードが自治体側から出ているぐらいで、ようやく住民にとって何が大切かが分かりかけてきたようである。
この様な金太郎飴的な国づくりを止め、各自治体の特長を出すためには地域連携が有効な手段となり得る。例えば我が町は陶芸家やアーティストが多いので、美術館を建てましょうと言えば、隣の町はスポーツ選手が多いのでスポーツ館を建て、相互に利用しあえば無駄がなくなり、隣町との交流も盛んになるからである。 また、災害時に避難する場所は自宅が隣町に近く、そこに逃げるのが最適であるにもかかわらず、案内板には遠くにある自分の自治体の避難場所しか標記していないというのが現状である。一事が万事、例をあげれば枚挙にいとまがないが、筆者は以前からある町のPRパンフレットには隣接する町のいろいろな見どころや行事を入れるべしと主張してきた。それにより、生活空間が拡大し、地域全体の魅力も増し、ひいては観光客も多くなり、ムダな経費もすくなくなる。
エネルギー問題については、今まで、エネルギー主体の地域連携が実現したという話は聞いたことがないが、これからはエネルギーの地域連携、省庁連携こそ進めるべきであると考える。例えば風の強い地域に風力発電機を建てる場合、隣の町から申し入れがあれば、共同で風力や小水力発電事業を行うという考えが成り立つ。すなわち自然エネルギーは比較的地域性の高いものであり風力、水力、波力、地熱等は、どの地域でも平等にその恩恵を享受出来るわけではないからである。
もう少し地域を拡大して考えると、北海道は風力発電にとって風況の良い地域が多いので、デンマーク並の風力発電が可能であろう。ちょうど土地利用可能面積も人口も同じぐらい(500万人位)なので、デンマークの目指す2010年までに全消費電力の30%を風力でまかない、2030年までには50%までその比率を高めるというポリシーを北海道にあてはめて考えることも不可能ではないはずである。
現在、北海道電力(株)は、15万kwまでは購入を認めるがそれ以上は受け入れないと宣言しているが、これは技術的に電力供給の質が悪化するという心配と1kwあたり11円50銭で、長期間買い取らなければならないと言う経済的負担が大きいという理由からであろう。
しかし、北海道と本州は巨大な電力ケーブルで結ばれており、東北電力や東京電力の系統につなぐことも、今や技術的には可能であり、風力のみでなく太陽光発電も計算に入れると北海道が晴れているとき、本州で雨や風が強ければ、日本全体としてバランスの良い自然エネルギーのシーズとニーズのマッチングが成立出来るのである。デンマークが電力の半分を風力でまかなうポリシーをたてているのに、日本の電力会社や行政が、未だ自然エネルギーは希薄なので取るに足らないと言う姿勢を貫いているのはなぜだろうか。

生協の役割は省資源、省エネルギーの推進のみではなく、自然エネルギー利用がいかに環境浄化に役立つかを認識し、人に優しい自然エネルギーをなるべく使おうというキャンペーンやグリーンエネルギーの購入を積極的に行えば、行政や電力会社の考えも変えられるはずである。また、生協の積極的な姿勢に共感する人も増えてくるであろう。
省庁の連携について言えば、風力発電に適する場所は海岸線に多く、風致地域である場合が多い。これは環境庁の所轄なので、環境庁が了承しなければ風力発電は出来ないことになり、以前、千葉県などは風致地区における風力発電を断念した経緯があると聞く。しかし、もしも環境庁が自然エネルギー利用を推進する立場に(ドイツやデンマークのように)あるならば、風致地域は風力発電に絶好の場所であることを認識するであろう。景観的にも風車は自然の風景に良く解け込む。風致地区とは風車を建てるのに適する地域であると筆者は事ある毎に言うことにしている。事実、三浦市は例外的に風致地域に風車を建て、高さ制限を解除してもらったし、山口県の上ノ関は公園内に原発を作る計画もある。つまり現在は、時代の要請に即応できる行政(環境とエネルギーのバランスを考えられる省庁など)が求められる時代である。本年5月には運輸省がオフショア発電の検討を開始したが、ヨーロッパでは海岸より300m〜1km位の遠浅の海に風車を建てると風況がよいので効率的な発電が出来ると言うことが認識され、もはや実用段階を迎えている。
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この領域の管理は運輸省なので、やはり省庁の綿密な連携が必要となる。この場合我が国では漁業権の問題も発生し、高額な補償費などを請求されないような大義名分を考える必要があろう。日本の高コスト体質における弊害は自分自身が招いているのだという認識を持つことも大切である。
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