4. 地域におけるエネルギーの将来ビジョン

通産省は96年から地域における新エネルギービジョン策定のプロジェクトを行い、今まで200以上の自治体がこれに応募して次世代の地域エネルギーのビジョンを作り上げた。
筆者もビジョン作りに3年間関係しているが、これは現在のエネルギー消費やその地域に特有の新エネルギーの賦存量(使用可能な潜在量)を分析することによって、将来どの様に新エネルギーを町づくりに生かしていくかという検討を行うものである。日本全体の新エネルギーの将来ビジョンもこの結果を踏まえて作られると思われる。これは単に電力、ガス等の消費量の分析や風力、太陽光、地熱、波力等の新エネルギーをいかに創出するかというだけではなく、町の交通政策をどの様にすれば混雑が防げるか、省エネ可能か等も考慮する対象となっている。これは筆者と親しい米国のロッキーマウンテン ・インスティテュートのAmory Lovins氏が20年も前から主張してきたことである。今ようやく我が国でも自治体全体としてのエネルギー政策を考えるということになったことは喜ばしい。したがって自動販売機(我が国は世界中で一番普及度が高くこれだけで発電所2基分の電力が消費されている)の省電力化から軽便鉄道の導入やソーラ街灯の設置までいろいろな分野の人達がこのエネルギー問題に注目する必要があるわけである。
一例を揚げると、今我々が具体的モデルとして提案している城ヶ島の例を揚げる。

城ヶ島「エコアイランド」構想

城ヶ島を「エコアイランド」と位置づけ全島の電力は風力、太陽光、波力、バイオガス発電等でまかなう、それだけではなく静脈系の生ゴミ、し尿処理等も最新のバイオ技術等でクローズドな形で処理し、外部への汚染、環境負担をなくす。
醜悪な電線を地下埋設し、街並みをすっきりさせ、新国土計画にうたわれている花いっぱい「庭園の島」のモデル島にする。
これにより21世紀のライフスタイルを垣間見られる島として、世界中から意識の高い観光客を集客する。もちろん魚の水揚げはHACCPの設備で衛生は完璧な状態とし、フィッ シャーマンズワーフやファーマーズマーケットを開設し、新鮮な海や、山の幸をその場で食し、また持ち帰られるようにするという提案である。これは三浦市も大乗気で今後定期的会合をもって実現に努力する予定である。
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このような時こそ生協がこれらの新しいコンセプト作りに関与することで新しい事業展開も可能になるのではなかろうか。
たとえば、波止場で風車の景観的によく似合う例が外国では多いが、我が国でも岩手県の遠野市の道の駅で風車を建てたところ、今までより2〜3倍の客が入るようになったという。生協の店舗のあるところには必ずマイクロ風車やソーラー発電がシンボル的にあり、環境重視の地域の店という新しいイメージで、これからのライフスタイルをつねに提案していく姿勢が要求されるのである。

5. ゼロエミッションの社会を作るには


よく言われることではあるが、今までのエネルギー消費は、地球が蓄えた化石燃料という財産を切り売りし、子孫の時代には無くなってもかまわないという考え方で浪費社会を形成してきた。我々の世代はまだまだ財産が残っており、かくし財産もありそうだから、新しい収入源を積極的に見出す必要はないであろうという、先送りの態度を取ってきたわけである。ここにきてようやく資源は有限であり、エネルギーの大量消費は環境を悪化させるという認識が高まってきて、リサイクルの運動も盛り上がってきたのは良いことである。しかし、リサイクルは資源の節約にはなるが、再生産時には大きなエネルギーを必要とすることも知るべきである。本当に環境を考えるならば、財産にはなるべく手をつけず利息のみで生活するのが理想であり、利息とは再生可能エネルギーの利用ということになる。これこそゼロエミッションの思想であり、利息を最大限に利用する技術の開発を急がなければならないであろう。今まで石炭、石油、ガス、原子力発電にたいしては、日本だけでも約30兆円位の資本投下がなされており、それにより現在の電力料金(約26円/kw)が維持されているわけであるが、自然エネルギーにはまだ1/1000の開発コストもかけていない。その様な状況で太陽光・風力発電はともにコストが高く、希薄で不安定なエネルギーであると見なし、絶対に主役にはなれないという議論をする人達が多い。1兆円位(原発2基分)の太陽光、風力発電機器の需要があれば大幅なコスト低減が図れるのは目に見えているのにである。
また従来の、化石燃料や原子力発電の環境負荷コストを考えると、今のコストの2倍以上になると言う人達もいる。我々は本当のコスト積算のための基になるデータを知らされていないので原子力発電は9円/kwで太陽光発電とは全く競争にならないと説明されているが、一度全てを情報公開し、国民的な場で議論をしても良いと思う。これも生協の出番であり、それが電力業界の透明性を高めるのに役立つだけでなく、消費者にどの電力(化石、原子力、自然エネルギー等)を買うべきかの判断材料を示すことによって選択肢を広げることが出来る。米国ワシントンDCのある電力会社は今年の5月、自社の4つの発電所を各々別々の会社に売り、送電業務に専念することになった。これにより消費者は一番安い、または自然エネルギーのソースの多い発電所の電力購入の選択が出来るようになった。日本ではまだ考えられないことであるが、この様なアイディアを実行することにより、企業は競争力がつき、かつ消費者の選択眼を高揚させる政策には脱帽せざるを得ず、これが米国の活力の源になっているらしい。また混雑時は1人乗りの車にゲートで高い通行料金をかける制度などは以前から行われているが、日本ではなぜそれが出来ないのであろうか。これもエネルギー節約に大いに役立つのだが.....。日本の法律は一旦作ってしまうと状況の変化が起きてもなかなか改正しようとしない悪弊がある。これは法学部が法律を作ることは教えても”壊す”ことを教えていないせいで、いくら良いアイデア(自然エネルギー普及のための)が出て来ても今のところ無関心である。車でも今は壊すことを考慮して作る時代なのに、今のペースで行くと法律が環境悪化の手助けをしているのではないかとさえ考えてしまうのは筆者だけであろうか。

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